ご承知のように、ガリマール社が1945年初版出版の事実を認めました。したがって、ここに述べようとしていた事柄は、その多くが意味を失ってしまったわけです。
新しいページを構築して、全面的な書き直しをする予定です。ガリマール社は、なぜ永らく1946年初版と言い続けてきたのかについての説明をしておりませんから、それが明確に決着するまで、このページは残します。
1945年に Le Petit Prince を出版したとは承知していない。
初版は連番号を打って販売された。しかし、その販売部数は判らない。
ガリマール社ともあろうものが、連番号まで打って販売した初版本の発売部数を把握していないという、信じられない答えが返ってきたのです。
ともあれ、1945年に発売したことはないと、出版元からきっぱり否定されてしまいましたから、この本は謎の Le Petit Prince になってしまいました。
Date: Wed, 16 Dec 1998 13:05:27 +0000
ここからが、質問に対する返事の部分。
The only good edition of the Little Prince by Gallimard is the version of
Nathalie des Valli俊es
要点はこうです。私が、「1945年版を所持しているが、ガリマール社は1946年に初めて出版したと言っている。1945年版と1947年(およびそれ以降)版では異なるところがある。1945年版は偽物ではないかと考えられる。しかし、(著作権問題との絡みから)本当はガリマールの出版物である可能性もある。
それに対する答えは、「あなたのは偽物だと思う。」と言うもの。答えの主 Nathalie は、サンテックスの末の妹ガブリエルの娘で、“「星の王子さま」の誕生”の著者です。
上記のようないきさつを踏まえて、以下のページを凍結保存します。 (2000.07.09)
「こんな素晴らしい本を何で廃棄しなきゃならんのだ! まったくもう、最近本社の連中がやることときたら、訳の判らんことばかりだ。」 裁断業者が販売店に横流しするのを防ぐための色素液を塗りながら、ピエール爺さんは本当に腹をたてていた。「見たところ落丁や印刷ミスがあるわけじゃなし、検本が済んで連番号まで打っとるじゃないか! たとえ少しばかりの色ずれやインク汚れがあったとしても、売り物にならんほどのもんじゃありゃせん。今までだって、もっとひどいもんを売りに出したこともあった。それに較べりゃ、これなんざ立派なもんだ。」50冊づつまとめられた包みを切り裂き、刷毛で色の帯を一気にひく。小学校を出てガリマール社の出荷倉庫に雇われて以来この歳までずっとこの職場で勤め上げて、今ではこの一帯のヌシとしてまわりから一目置かれている超ベテランのピエール爺さんだ 本当ならとっくに引退だが、戦争に若者をとられて人手不足になったせいでまだ勤め続けている。戦争が終わって、若い連中も戻ってきたし、そろそろ引退して曽孫の相手でもと考えることが多くなった。
「これは一体何なんだろう?」 1冊のガリマール版 Le Petit Prince を何度も見返しながら、私は考えあぐねていました。そして、上のような出来事を想像したのです。 これならば、いろいろなことがすっきり納得できる。しかし、だとしたらこれは世界でただ一冊の貴重な貴重な本ということになる。そんなものがこの私の手に入るなんて、あり得ることだろうか?
(悪用されるのを防ぐために Sample の文字を上書きしてあります。)
パリのポールデュポン印刷所はガリマールの出版物を引き受けているところで、初期の Le Petit Prince はここで印刷されました。この点についての疑義はまったくありません。問題はその次です。1945年11月30日、とあります。「45年だとぅ?」 私は目を疑いました。ガリマール社が Le Petit Prince を出版したのが1946年であることは、コレクターなら常識中の常識です。初版本というふれこみに、清水の舞台を後ろ跳びの心境で取り寄せたのですから、1946年とあるべき数字が1945年では、なにが起きたのか理解できず混乱してしまいます。それに、437版569刷とは何事! 初版本だろ? なんで437なんだ! 錯乱と言ってよい境地でした。「法定納入 1945年第4四半期か。そこまでいうなら嘘じゃなかろう。」 まてよ、この数字は何だろう? 黄色の手打ち文字で3415とあります。
購入先との交渉がはじまりました。「ニセモノとしか思えない。珍しい品物だから購入はするけれど、価格については改めて相談したい。」
1945年版の表紙。
著作権問題に関わる見解 : この項目で披瀝している内容は、ガリマール社が所有する複製権に抵触するものではありません。ガリマール社は「1945年に Le Petit Prince を出版したとは承知していない」と明言しているのですから、この書物はガリマール社の法的に有効な出版物ではあり得ず、また、ガリマール社が自社製品と認める版と比較して異なる点が少なからずありますから、同社製品のデッドコピーではなく、別個の製品と考えられます。したがって、同社の複製権は及びません。さらに、同社の権利を侵す違法出版物であるという可能性に対しては、第三者である私が責めを負うべきものではありません。このページでは、極めて珍しいケースであるこの印刷物に対する議論と、それに必要な“引用”を行なっているのですから、著作権上の不法・不都合はまったく発生する余地がないものと考えます。
Subject: Re: Gallimard published Le Petit Prince ?
From: Saint.Exupery@wanadoo.fr
---------- 私が送った質問状 --------------
> A : Saint.Exupery@wanadoo.fr,Fondation Anotoine Saint Exupery
> Objetハ: 1945 : Gallimard published Le Petit Prince ?
> Dateハ: Fri, 11 Dec 1998 14:47:49 +0900
>
> 11 December 1998
> Messeures,
> I have visited your home page "Le Petit Prince" (http://www.saint
>-exupery.org/prince.html). I am VERY interested that you state
>the publication date of the Gallimard Edition to be 1945.
>
> In fact I have a copy of Gallimard Ediotin which was published in
>30 Novembre 1945. The publisher, however, says that the first publication
>was 1946 and they are not aware of the publication on 1945.
>
> I am wondering that the copy is a counterfeit because, in that copy,I
>foud out some different points from the standard versions of Gallimard
>published in 1947 and later. The another possibility will be that the copy
>was really printed by Gallimard but not published/discarded because of
>copyright-trouble between Reynal & Hitchcock.
>
> Could you please inform me any authority about it if you know?
>
> Sincerely Yours,
>************************************************************
1946. I think that your copy is a contrfeit, mainly if there are some
differences beetwen this edition of 45 and the real edition of 46.... But it
can be interessant to know what are theses differences and who really edited
this book dates of 45.
Sincerly yors
- - - - - - - - - - - 以上で e-mail の応答終り。- - - - - - - - - - -
事情が判る質問先をご存じならばお教え戴きたい。」![]()
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さっきから気になって、時々一冊抜き出してはぱらぱらとページを繰ってみる。彼の目には、どう見ても傷物とは思われない。「それにしてもまあ、なんと可愛らしい絵じゃ。こんな本の発売は久し振りのことじゃて。」軟らかなタッチの挿絵に目を細めた。「もったいない。発売すれば子供たちがどんなに喜ぶことか。」 小学校しか出ていない爺さんは文章をチャンとは読めない(なにしろ、文字のとおりに発音しても、意味の判らない単語が多すぎるのだ)けれど、出版業務には誇りを持っている。倉庫から本が出荷されて行くときは、我が子の旅発ちを見送るような気分だ。この素晴らしい本が日の目を見ることなく処分されることには、まったく我慢がならなかった。むざむざ廃棄してしまうのは不憫でならぬ。せめて一冊なりとも残してやりたい。
「クリスマスプレゼントにしたら孫娘はさぞ喜ぶことじゃろうに......。うん。別に売りさばこうというわけじゃなし、孫の本箱に入るだけなら問題はなかろう。長年勤め上げた記念に1冊頂戴しても、神様はお許し下さるじゃろうて。」 赤い色素が染みついた手を汚れたズボンで拭いて、本を汚さないように気をつけながら1冊抜き取ると、セーターの腹をまくり上げて素早く押し込んだ。「さて、クリスマスまでまだ間があるが、何処に隠しておこうかのう。」
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このような妄想も無理からぬほどの、訳の判らない本なのですこれは。まず謎の出発点は、その奥付にありました。
「判らない!」 あちこちページを繰りながら、何か手掛かりはないかと探し回りました。カバーを外して表紙のチェック。花ぎれもガリマールのものとして不思議はない色柄です。見返しの効き紙を透かして見えるのどぎれ(喉裂)! 「いやに薄いな?」 手持ちのガリマール版と較べてみると、明らかに違う。しかも、問題の本の方がずっと洗練されたでき上がり。製本技術が現代的すぎないか? 「偽物だ、これは!」
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後期(1951年以降)のGallimard版は
これとはまったく異なる図柄だ。![]()

左が1945年版,右が1964年版の表紙とカバー。
1951年、ハードカバー版は Paul Bonet デザインの表紙(右側)に変わり、現在に至っている。ダストジャケット(カバー)はペーパーバックの表紙と同じ図柄のままで、変化なし。
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