| たとえば、こんな趣旨の法案が上程されたとしましょう。
あなたはこれに賛成しますか?
これと選ぶところのない、とんでもない法案が検討されているそうです。どんなに深刻で人権無視の法案であるか、皆さん一人ひとりに、真剣に考えていただきたいと願い、このページをアップロードしました。是非読んで下さい。 |
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賛否両論のウェブサイトやブログを読み回って、不正確な根拠を基に話を進めている例が少なくないことに気付きました。このままでは不毛の論議になりますので、以下の点を追加説明しておきます。再確認の上、考えを点検していただきたいものと思います。
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「サマータイム制度推進議連」というのがあるのだそうです。党派を超えて130人もの議員が名前を連ねているとか。今秋(2008年)にも法案の成立を期すると伝えられています。そして、これに賛同する意見表明も少なくありません。
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この議員達の、短絡的な思考を野放しにしてはなりません。彼らには、目前のことしか見えてはいないのですから。
石油の価格が上昇して、国家戦略上問題があるからと、バイオ燃料を煽ったバカな大統領がいました。人間の食料(彼の貧しい知識の範囲内では、有り余る家畜の飼料だったのでしょうが)をアルコール発酵させて燃料に変えるというのです。何のために燃料が必要なのかに思いが至らない本末転倒の試みは、たちまちにして食糧危機を招き、世界各地で飢えに苦しむ人々を増加させました。他人がどうなろうと知ったことではない亡者どもが、この機会を捉えて農産物を投機の対象にし、食料価格を人為的に吊り上げたため、狂乱状態の食品価格に底辺の人々は喘ぎ続けています。 繰り返しますが、制度を変える「必要」は微塵もありません。影響を受ける人々にとっては、命がかかっています。書斎や応接室だけで法案を考えるのは、やめにしていただきたいものです。 |
これらの賛同意見に共通して認められるものは、サマータイム導入メリット過大評価と、デメリットの意識的な過小評価・無視です。
まず第一に、良いことずくめの経済効果が列挙されますが、道路やダム建設の際に出される「予測」と同じで、実現不可能な「水増し最大限効果」に過ぎません。1時間時刻を遅らせたからといって、金が湧き出てくるわけではありません。この不景気な時代に、明るい夜が長くなったからといって、誰が消費を増やすでしょう。多くの国民は、そんな余裕もないほど逼迫した人生を送っているのです。
また、コンピュータシステムをはじめ、膨大な額の出費が必要となります。これを、新たな「需要喚起」であって景気を刺激する、と信じている面々がいるのですが、戦費と同じで、還元されることのない「無駄な消費」ですから、特定の人にとっては「儲かる」話かも知れませんが、全体で見ればマイナス(経済学でいう「不経済」)でしかありません。
第二に、時刻を毎年2回シフトさせることに伴う経済的なデメリットが、過小評価されています。上記の「水増し」とは逆に、小さくちいさく削られ・押し込められているのです。どこの国の統計も、この項目をちゃんと評価していません。算定・計上不能を良いことに、徹底的に過小評価するからです。【とりわけ、増加する事故や病気による出費の増加は、意識的に黙殺され、逆に「個人的な支出」として、消費の増大(= 景気の向上)に勘定されてすらいます。】
最も大切な、「人間を大事にする」という観点に立つならば、時刻を変動させるという行為は絶対に支持されません。それでなくとも現代社会の人間は、「社会的時間」に縛られて生活しています。本来ならば、太陽の運行(すなわち明暗周期)に従って徐々に変動するべき「自然時刻」とは別に、無理をして「社会時刻」に合わせています。この「時刻」を「突如」変更することは、生物にとって物凄いストレスなのです。そしてそのストレスは、弱者にしわ寄せする形で発現します。若くて健康な人なら耐えられる負荷でも、老人・病人・妊婦・その他の、負担限界が低かったり、負担ベースラインが上がっていたりする人にとっては、とどめの一撃になりかねません。数値を挙げてものをいうとき、このように甚大な被害を受ける「弱者」は、社会の「一部分」として、無視されがちです。
「たった1時間」だから「影響は殆どない」、というのは嘘です。体温の日周リズムは極めて頑固で、その「たった1時間」を、なかなか適応してくれません。この体温リズムと合わない生活* は、さまざまな不都合を生み出します。フランスに住んだことがある私は、夏時間を複数回経験しました。目立って健康を害することはなかったのですが、「何となく体がだるい」症状は終日続き、馴れるまでに一週間以上かかりました**。私だけではなく、周りのフランス人も同様で、「迷惑な制度だ」と異口同音の意見でした。若くて健康であってさえ、この「能率が悪い」迷惑な状態が、夏時間の始まりと終わり、1年に2度訪れることになるのです。統計数値にはあがってこない、この目に見えない「不経済」は、国家にとって無視することのできない損失になるはずです。
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* 体温リズム:体温の概日リズムそのものではなく、体温リズムを作り出している生体時計(基本的な親時計)とのズレが不都合なのです。体温リズムは、その生体時計の良い指標として、便利に使われます。 ** 馴れただけです。自覚されなくなりますが、体の不調は潜在化して、事故危険性はずっと続きます。そのことは、体温リズムが変わっていないこと、諸機能テストでの成績が低下していること、で証明できます。 |
生体リズムの専門家集団、日本睡眠学会がこれについての調査をし、学会としてサマータイム実施反対の声明を発表しています。
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私見に過ぎませんが【とはいえ、定年退職で退会するまで、日本睡眠学会・その他生体機能にかかわる複数の学会の会員でした】、サマータイムの判りやすい(健康にかかわる)欠点を、端的に列挙しておきます。
その実験は、結論が先にあって、数値を「いかにそれに添わせるか」というものであったことは、明らかです。たとえば、札幌市の「サマータイム実証実験報告書」(下記 URL)は、市役所職員から回収したアンケートの分析を行っていますが、年齢層・職階・実験参加日数のクロス分析を(最も基本的な出発点である、分散分析による有意差検定すら)行っていません。統計分析をする上で必須の科学的なサンプリング計画と無作為化を行っていないのです。それなのに、
| 『それぞれの回答者の実験への平均参加期間をみると、「健康増進に役立った」としている人が22.2 日、「変化なし」が17.3 日、「睡眠不足などの体調悪化」が15.7 日である。健康増進に役立った人と体調の悪化を感じた人との間には参加期間で約1週間の差があり、昨年の実験と同様、短期間の参加では体がなかなか対応できず、長期に参加した場合には、健康面での良い影響が評価されたと考えられる。』 |
と結論づけます。最後の
| 『短期間の参加では体がなかなか対応できず、長期に参加した場合には、健康面での良い影響が評価されたと考えられる』 |
は、(サンプルのグループ化方法と分析手法が不明なので可能性の指摘に過ぎませんが)
| 『からだが対応できない人は早期に脱落し、鈍感な人は長期間参加した』 |
のかも知れない、すなわち、因果関係が恣意的に逆転されているかも知れないのです。
【何よりも、「健康面での良い影響が評価された」という文言は、我田引水・牽強付会の極みです、「体が馴れるためにはこの程度の期間が必要であることを示している」というのが常識的な判断で、「健康増進に役立った」という予め用意された回答選択肢は、結論誘導型のバイアスアンケートの典型です。ましてや、「健康悪化」の例があるのなら、それだけで即刻中止すべき「実験」ですから、3年も続けたこと自体問題であると同時に、「実施すべし」という結論は、絶対に出てるはずのないものです】
この報告書のままでは分析が非科学的で、予定された結論にねじ曲げを行っているとの批判は免れません。
まったく同じように、労働組合(下記 URL)も御用組合化して、用意された結論を担ぎ上げる役目を担っています。「朝は眠かった」という訴えを何と思っているのでしょう。その労働者を支えている家族の状態は? 客観的・科学的な結論を最初から放棄した調査ならば、ない方がずっとましです。
北海道が高緯度で、夏は時刻をずらした方がそれほど良いことずくめであるというのならば、フレックスタイム制を敷いて道内だけで実現すれば済むことです。日本中を引きずり込み、その犠牲の上に自己の利益を図りたいという身勝手な考えは、絶対に容認できません。
音頭を取った札幌商工会議所とその提灯持ちの金属労協、そして、多地方の迷惑そっちのけで自己の経済的利益を追求しようとした賛同者の人々には、猛省を促したいと思います。