
| 呆れたことに、“Horst Rippert”の副題をつけたページがあります。とんでもない話で、まったく関係はありません。創作娯楽作品であることを明確に認識した上で観賞(鑑賞の価値はありません)して下さい。 |
ノンフィクションと謳っているわけではないので、娯楽作品と割り切ってスルーすればよいのですが、サンテックス撃墜を主題とした、事実にそぐわない内容なので、注意喚起の意味で名前を挙げておきます。
Der Letzte Flug(最後の飛行)という名の動画がネット上にアップされています。長さ11分間の小品ですが、実写画面が使われていて、リアリティがあります。特にガンカメラの撃墜シーンは臨場感充分です。ストリーは、主人公 Mueller 少尉の同僚であった Henrici 老の追想から始まります。
任務を終えて還ってきた Bf-109(私は詳しくないので型が判らないのですが、スピナ中央に穴が見えるので、モーターカノン機関砲を装備した機種のようです。Bf-109 の操縦席の狭さを実感できるのが、何よりの収穫)がハンガーに入庫し、Mueller 少尉が降り立ちます。尾翼の方向舵には30個もの撃墜マークが描かれていますから、一応エースの仲間入りをする腕前と見えます(とはいえ、30機程度ではエース列伝の仲間入りはできません。ドイツ空軍の戦闘機乗りには、撃墜数100機以上の「撃墜王」が居並びます。東部戦線で低性能の機体に乗った未熟なパイロットを相手に、休暇なしで戦場の空を駆け巡っていた結果なのです)。
搭乗員室に戻った Mueller は、一機撃墜したことを仲間に告げ、一緒に祝杯を挙げます。仲間の一人に、コルシカ島の西で行った空戦の様子を語り、そのとき、ガンカメラの実写が挿入されます(物語では、Mueller は降下攻撃を仕掛けています。だとしたら上のカットは前上方からの突撃ですが、ガンカメラの映像は、P-38 型機の下後方から突き上げて、右エンジンを出火させているように思われます。それよりも印象的なのは、Bf-109 のコックピットの狭さ!)。やがて記録係の少佐(?ベタ金に星ひとつの襟章)がやって来て、撃墜報告の書類を彼に渡します。サインをしながら、相手のパイロット名を尋ねる Mueller に、少佐は書類をめくって「サンテグジュペリだ」と答えます。凍り付く Henrici。部屋の空気が一瞬にして気まずいものに変わり、立ちつくす Mueller を後に、Henrici は部屋を出て行きます。
ドイツ空軍ガンルームの全員がサンテックスの名を知っており、彼を敬愛していたという、現実離れのしたサンテックス神話の典型です*。
コピーライトは2003年になっていますが、2004年に公開されたもののようです。監督も脚本も Roger Moench です。「フォッケ=ウルフ迎撃隊」等、航空戦記物を多く書いている作家の Rudolf Braunburg が書いた "Ein ganz gewoehnlicher Abschuss" 【「極めて日常的な撃墜劇」】を下書きにして、 Moench が映画化したものだそうです。
| * 「作品」であって、撃墜場所や登場人物等、史実はまったく含まれておりません。このような作り話を使ってサンテックス神話が陰湿に捏造され、無意識のうちに広まって行くのは、残念なことと言わざるを得ません。 |