日本における Le Petit Prince の著作権権利保護期間がやっと終了し、翻訳権がパブリックドメインに移りました。挿絵も著者自身が描いたものですから、本文とセットでパブリックドメインに移るのが当然と思われます。ところが、実態はそう簡単ではないのです。
「星の王子さま」という内藤 濯さんの日本語訳には、著作権が生きています。一般に、書名・タイトルには著作権は適用されませんが、書名「星の王子さま」は、1)それ以前には存在しなかった名詞であること,2)原題 Le Petit Prince からは絶対に訳出され得ない表題であって内藤さんの創作であること,3)内藤さんの(または岩波書店版の)特定の書物の標題であることが一般に知られ・認知されていること、等の事実から、特別扱いされるべき事由があると私は考えています。
ロゴ「Le Petit Prince/星の王子さま」に関しては、しつこく商標登録をしています。
登録商標で注目すべきは、登録番号2094428の出願です。1986年10月30日に出願し、自動的に先願権が発生しています。この申請は1988年に登録され、1998年に更新登録(権利者名:ジャン ダゲー)されているのですが、少なくとも一旦は「全部無効」と審判されているようなのです。1991年3月28日に審判請求を行っており、審判番号は「平3-6144」です。区分・指定は「織物・その他本類に属する商品」となっています。
それに先だって1991年3月14日に別の査定不服審判(平3-5387)を請求しており、1997年に登録されています(登録番号2721467,権利者名:ジャン ダゲー。出願は1988年1月19日)。区分・指定は「織物・編物・フェルト・その他の布地」です。
二つの関連がよくわかりませんが、最終的な審判が「無効」だったのかどうか、調査中です。
1990年前後に何かが起きたことは確実なようで、それ以降計12件もの出願を、様々な区分に分けて行っています。出願日で分類すれば7つのグループになります。すべてを合わせた区分・指定はあきれるほど多岐なので、内容は省略して、利害もしくは興味を持つ方のために登録番号だけを記載しておきます。
【登録2224180, 登録2234170, 登録2240851, 登録2282767, 登録2302130, 登録2342620, 登録2387562, 登録2496068, 登録2686979, 登録4629053, 商標出願2004-106890, 商標出願2005-024239。】
このうち、登録2387562の区分は新聞,雑誌 です。「関連分野」として単行本が含まれるのか否か、不詳です。登録2094428と登録2342620のふたつだけは、「Le Petit Prince」を含まず、「星の王子さま」だけの申請(他はすべて「Le Petit Prince,星の王子さま」)です。区分については、全部をあわせるとほとんどの商品は網羅されてしまいます。
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ダゲイ氏やその財団をキーワードとして検索を続け、少なくともポーランドでは商標として絵を登録していることが判りました。
![]() ご存じ、表紙によく使われる「B-612 の王子」です。これと似た図柄はすべて規制され、ポーランド国内での製造・販売には許可が必要となります。ポーランド語は理解できないので、区分・その他の内容は読みに行っていません。 日本での画像の商標登録について p_prince さんからご教示戴きました。上記と同じ図柄が、登録4364550として受理されています。「星の王子さま」の名称はなく、「Le Petit Prince」で、区分は25 被服,運動用特殊衣服,仮装用衣服,履物,ベルト,バンド,ズボンつり,靴下止め,ガーター,運動用特殊靴、だそうです。(p_prince さん、ありがとうございました。) |
| *【「ソレミタコトカ」と言葉が出てしまいます。2006.01.23、とうとうホリエモンは逮捕されてしまいました。裁判の結論が出るのはずっと先になることでしょうが、少なくとも、ルール違反を問われる程の、あくどい行為の数々であったことは誰の目にも明らかになったわけです。】 |
今回も、「『星の王子さま』というロゴも、原作に使われている挿絵も、許可無く使用してはならない」と宣言なさっていらっしゃいますが、私が調べた限りでは、そのような権限をお持ちの兆候は見つけられません。大変失礼ながら、過去の経験に照らして、またも単なる恫喝に過ぎないのではないかと疑ってしまいます。受理された書類の登録番号等、法的根拠を(特に挿絵に関して)明確にお示し頂けませんか? そしてもし、そのような権限を獲得していらっしゃるのならば、すでに受理された申請書類いっさいを取り下げていただくか、少なくとも次の更改時期には更新しないで頂けることを切に希望します。上にも述べたように、そのような「権利」は誰にも与えないことが一番良い方法だからです。パブリックドメインへの移行を宣言すれば、あなた方に代わって利権を貪ろうと、却下されることを承知でダメモトの登録申請をする人は現れないでしょう。サンテックスの心が少しなりとも理解出来るならば、私の願いは聞き届けられるものと期待しております。
今回の、日本における新訳ラッシュに臨んで、挿絵の使用を妨害しよう、あるいは、高いライセンス料をふんだくろうという動きがあります。挿絵の著作権も消滅したのです。少なくとも、Le Petit Prince の翻訳に関しては、挿絵は自由に使用させるべきです。そうしなければなりません。法の不備を突いて不当な利益を得ようとしたり、書物への挿絵の使用を意匠権や商標権で妨害しようと言うのは、法の精神に反するものだと強く主張します。