挿 絵 原 画

遂 に 出 現

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 Le Petit Prince に使われた挿絵原画は、多くの人が探し求めたにもかかわらず行方不明で、もう存在しないものと諦められていました。それが、出てきました。コンスエロの遺産を相続したフルクトゥオーソ氏が所有していたのです。


共同通信パリ12日発の配信で、

 サンテックスが描いた挿絵原画がパリの書籍商によって発見され、週刊誌レクスプレスがその経緯を詳細に報道している

と報じているようです。(私は、実態をまだ把握できていません。この配信に気付かず、ニュースとしては時期遅れになってしまったので関連記事が消えてしまっており、詳しいことが判りません。何か判ったら続報をアップロードします。)


 読売新聞(5月)に、鳥取絹子さんが寄稿なさっていることが判りました(下欄)。それによればコンスエロの遺産相続人であるフルクトゥオーソ氏が保管していたもののようです。(彼 José Martinez Fructuoso 氏とは、昨年南仏グラース市で開かれたコンスエロ遺品展で面会したとき、当然のことながら、遺品中に Le Petit Prince の挿絵がないか尋ねました。「ない」という返事でした。)
 共同通信の方が時期が遅いので、別のソースなのかとも思われます。調査して、著作権・その他に抵触しない範囲でお知らせしたいと思います。

  「ジャーナリズムはフットワークが軽い」ので、2週間(レクスプレスに関しては一月以上)の出遅れは大きなものです。フランスの新聞類を調べていますが、まだ見つかりません。「週刊誌」もキオスク店頭から姿を消しています。多忙であるという私的事情も絡み、少々時間がかかろうかと思われます。
 もっと大きく取り上げられても良かったニュースだと思うので、とりあえず問題点を指摘しておきます。

 Le Petit Prince ファンにとって嬉しいことであるのは言うまでもありません。そして、私が指摘してきた「『オリジナル』再現画像は色が濃く、鮮明すぎる」「色塗りの輪郭が鋭すぎる」という点が、事実が否かはっきり決着することでしょう。「コッペパン」の失策も含めて、ガリマール書店(そして、そこから出版許可を得ている各国出版社)は印刷原版を作り直すことになるかも知れません。没になった習作原画が多量に残っていれば、「星巡りは追加だ」という私の主張を検証する材料になる可能性もあります。

 出版社その他にとっての経済的な問題があります。
 挿絵原画発見の報に一番ショックを受けているのは「遺産相続人会」であろうと思われます。この一年間に出版された日本語新訳のほとんどが「権利継承者から許可を得た」挿絵を使用していました。この「権利継承者」はダゲー一族のことであろうと思われます。しかし、上記の断片的情報から推察されることは、原画がフルクトゥオーソ氏の所有物であろうということです。そうであれば、「権利継承者からの許可」はまったく無意味なものになってしまいます。とりわけ著作権保護期間が終了している日本においては、法的に無効です(原画が出てこなくとも無効でした)。
 各出版社は、改めてフルクトゥオーソ氏と交渉し、挿絵使用についての了承を得なければなりません。当然、それなりの使用料を支払うことになるでしょう。(おそらく各出版社はフルクトゥオーソ氏の存在を無視し、彼と直接交渉してこなかったでしょう。私の印象では、氏は結構タフな人です)。
 著作権料を低く見積もって価格設定をした出版社の中には、価格に跳ね返らざるを得ないところも出てくるのではないでしょうか。原版の作り直しが必要となれば、尚更です。【レイナル・ヒチコック版から挿絵を採用した八坂書房以外は、挿絵原版の作り替えを検討する必要があります(多分、頬被りをすることでしょうが . . . )。】(追加:2006.06.26)


 挿絵原画発見について鳥取絹子さんが、読売新聞2006年5月16日号に寄稿していらっしゃいます。4段、1000字前後の記事の中で、簡単な今までのいきさつの説明に続いて、「94年に2枚、今年になって1枚の原画がパリの古書店から売りに出された」「コンスエロ遺産相続人フルクトゥオーソ氏が保管しており、その3枚を売りに出したことを認めた」ことを、フランスの週刊誌レクスプレスが伝えていると述べています。売りに出されたのは、「狩人」「砂漠の花」そして「象が重なる星【 ⇒ アクセス不能になりました。売れたか、何か問題(買い戻し交渉/画像公開禁止 etc.)が起きたかのいずれかでしょう。「遺産相続人会」は万難排して手に入れようとするはずです。】」だそうです。
 原画は6月15日から11月5日まで、北フランスのカーン市(下記リンク「Caen Mémorial」)で初公開されるとのこと。(撮影禁止であることは必定。フルクトゥオーソ氏は遺品の撮影を許しません。ついでながら、下記リンクの「フルクトゥオーソ氏のホームページ 」中には、グラースの遺品展の会場写真があり、私が撮影を許されなかったコンスエロの黒いウエディングドレスが、遠景ながら中央に写っています。)
 鳥取さんの記事の中で、ガリマール社の初版が「46年」は「45年」の誤りです。「この時点ですでに原画は行方不明」も、そうとは限らないと私は思います(原画は、1948年になって Eugine Reynal がコンスエロに渡した可能性が残っています)。ガリマール社はレイナル・ヒチコック社に無断で出版を強行しましたから、原画を手に入れる気はなかった筈です。ダゲー一族を「遺族」と呼ぶのも、もうそろそろやめにしなければ . . . 。
 nrf 版が挿絵を改訂したのは2000年ですから「2000年に統一」はその通りですが、jeunesse 版(folio cllection)は最初からレイナル・ヒチコック版に忠実な挿絵を登載していました。むしろ1999年の jeunesse 版挿絵改訂は(良好な再現とはいえないので)改悪であると私は残念に思っています。
 Le Petit Prince の挿絵以外に、私が手に入れたサンテックスのデッサン2枚(うち1枚は1984年7月6日に売られたことが判明しています)も、コンスエロの遺品であったことはほぼ確かで、フルクトゥオーソ氏はかなりの分量の遺品を、少しずつ手放して来たのではないかと思われます。ニューヨークで売りに出されている「バラの誕生を見つめる王子」はどこから出たものなのでしょうね?

リンク:(すべてフランス語です)
 ことの顛末紹介
 フルクトゥオーソ氏のホームページ
 Caen Mémorial


 売りに出されている「積み重なるゾウ【 ⇒ アクセス不能になりました。売れたか、何か問題(買い戻し交渉/画像公開禁止 etc.)が起きたかのいずれかでしょう。「遺産相続人会」は万難排して手に入れようとするはずです。】」とレイナルヒチコック版の挿絵を較べてみると、いろいろなことが判ってきます。

 まず一目でわかることが2点あります。画像が時計回りに約80°回転されていることと、ゾウの色が別物になっていることです。「回転」に関しては、印刷時のミスである可能性が高いと思われます。つまり。挿絵原版の「上」にするべきものを「右」にしてしまったというものです。一旦(4色分の)「型」を作ってしまえば、鋳直しは大損害ですし、そもそも原図と見比べなければ、間違いには気付きません。

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レイナル・ヒチコック版の挿絵。


 古書店の画像を勝手に使うことはできません。各自アクセスのうえ比較してください。【 ⇒ アクセス不能になりました。売れたか、何か問題(買い戻し交渉/画像公開禁止 etc.)が起きたかのいずれかでしょう。「遺産相続人会」は万難排して手に入れようとするはずです。】

 サンテックスの原画は、ゾウの色が茶色(星の色と同系統)です。この挿絵では、「ゾウ色」に変わっています。【マッキントッシュで画像処理を行っています。Windows マシンでご覧の方は、正確な色再現ができていません。】 輪郭線も明瞭で、(星も含めて)絵の具のはみ出しも修正されています。(画像の物差しはインチ目盛りです。編集者の指示通り、幅が3インチであること、第20ページに印刷されていること等も確認してください。)

 「2系列の挿絵」の項で説明したように、写真製版の時代ではありません。挿絵職人が4枚の色原版を作ります。それに先だって原版用の模写が行われますが、その際、色の変更(挿絵の回転も?)が編集者から指示されたのでしょう。サンテックスの原画では、星とゾウが同系統の色で、絵に締まりがありません。ゾウの色を変更したのは正解だと思われます。(サンテックスの絵が変だとは断定できません。ゾウは体に水や砂をかける性質があります。サンテックスはアフリカのどこかで、赤土の粉末を体にまぶしたゾウを見たことがあるのかも知れません。)【こうなってくると、細部に違いが認められる「バラの誕生を見つめる王子」も本物の原画である可能性が高まってきました。】


<未完>


 所有権の問題をクリアしているのか否か判断できないのでリンクを張るのを控えていましたが、このような事態になって挿絵の話題性は上がってくると思いますから、紹介します。
 シルビア・ハミルトンがサンテックスから贈られ、1968年(この時点では彼女はシルビア・ラインハルト)にニューヨークにある Morgan Library に買い取られたサンテックスの肉筆画画像がインタネットに公開されています。全部で20枚(画像をクリックすると高画質で見られます)。大部分は、ハーコート・ブレイス社の記念版に掲載され、岩波の(新)愛蔵版にも掲載されているものです。[3] のトップにある 09.html だけは、Le Petit Prince の挿絵:「塀の上の王子」です。(書きかけで、線画の王子とタバコによる焦げ跡があり、ヘビは描かれていません。)

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