ガリマール社が、自社出版の Le Petit Prince 挿絵・本文に多くの誤りがあることを公式に認めたのは 1999 年になってからのことでした。しかし、1980年版以来、 Folio junior 354 系列では、一貫してレイナル・ヒチコック版の挿絵【ホンモノとニセモノ? 2系列の挿絵】を使用してきたことは既にお知らせしました。
Pléiade 版の Œuvres; Antoine de Saint-Exupéry の蒐集が思うに任せず(現在でもまだ不備のままです)、改変時期の特定が難しかったのですが、一応狭めることができたと判断できる状態になりましたので、公表します。すなわち、下に述べるように、原則として「1953年10月19日印刷版は旧ガリマール系、1954年2月24日印刷版以降はレイナル・ヒチコック系」の挿絵を使用しているのです。したがって nrf 社(= Librairie Gallimard)は、少なくとも1954年初めには、自社の挿絵が間違っていることを知っていたことになります。
Bibliothèque de la Pléiade 版 Œuvres; Antoine de Saint-Exupéry 中にある Le Petit Prince 挿絵の数例を示します。

上:1953年,下:1954年 上:1954年,下:1958年
左および右の各上下は、同一スキャン画像ですから、色および大きさを直接比べることができます。左下と右上は同じものです。襟飾りの形から、1953年10月19日印刷版は旧ガリマール系、1954年2月24日印刷版以降はレイナル・ヒチコック系(もちろん、天文学者が覗く望遠鏡の先にターゲットの星が戻り、岩山に「カラス」もしっかり現れました)であることが判ります。つまり、ガリマール社は、1954年初頭には、自社版の挿絵がレイナル・ヒチコック版のそれと異なっていることに気付いていたわけです。でも、すべての挿絵の差し替えを一斉に行ったわけではありません。

1953年 1954年


1953年 1954年

天文学者。望遠鏡の先の星が、1953年版にはありません。
黒板の数式も旧ガリマール系。

1954年版ではレイナル・ヒチコック系。
本文の誤り(日没回数が43回,小惑星325I,etc.)に関しては気付いていないのか、訂正されないままです。