パロディ本

帰ってきた星の王子さま
Le Petit Prince retrouvé

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 帰ってきた星の王子さま、左から、フランス語の原作,ドイツ語訳(以上ペーバーバック),英語訳,日本語訳(以上ハードカバー)。

Jean-Pierre Davidts 著,メディアファクトリー社,1998年11月10日,123p.,¥1,500.- + 税,ISBN 4-88991-649-0

 作者はベルギー生まれでカナダ在住の童話作家・翻訳家です。この作品を書くにあたって、王子の人物像を変えないこと,全体の構想を変えないこと,もとと同じくらいの長さにすること、を心掛けたのだそうです。
 原書はカナダで出版されたのですが、よほど特殊なルートを通して販売されたもののようで、入手には苦労しました。
 日本語訳は、原作にない特殊な点が多々あります。まず第一に、上の写真で明らかなように、挿絵がまったく違います。日本語訳は挿絵の数が多く、「王子」は青年期に達しているように見えます。原作ではまったくの子供です。
 日本語訳では「星の王子さま」に似せて章番号が振ってありますが、原作にはありません。

 飛行機の代わりに船で難破して無人島にたどり着き、相も変わらず子供のままの「王子さま」に出会う設定です。確かに、またぞろ王子はあちこち旅をして、いろいろとおかしな「おとな」に出会った経験談を身につけています。原作の「説教臭い」欠点を忠実に守っているわけです。
 極めて重大な変更点があります。「女の子」が出てくるのです。しかもその子は、もう旅をするのは止めにして一緒に暮らそうと提案し、薔薇に責任があるという王子に「私じゃ駄目なの?」と迫ります。これは Le Petit Prince では、徹底して避けられた構図です。もちろん、作者はその事を百も承知のはずです。そして、薔薇がコンスエロであることは動かしようもありません。「女の子」は誰なのでしょう? シルビア? それともB夫人? ひょっとしたらアナベラかも...。
 極めて意欲的な作品と言えばいえますが、成功したとは言い難い、と言うのが私の評価です。もし「女の子」が出てこなければ、まったくの失敗作。わざわざ執筆するだけの意味も価値もない内容ですから。

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