深夜番組
走れ歌謡曲

落合 恵子



 落合恵子さんのマスコミデビューは、文化放送のディスクジョッキーパーソナリティーでした。日野自動車がスポンサーの、深夜トラック便の運転手をリスナーに想定した番組でしたが、同じ時間帯にラジオを聴いている受験生たちも、聴取者層のかなりの部分をしめていました。それぞれに個性的な6人のパーソナリティが各曜日を受け持って、途中、他局のパーソナリティとの交信も交えながら、3時から5時までを喋り抜くのです。
 6人の中では一番若く、「真夜中のレモン」と自称する甘ったるい感じの喋りは、「レモンちゃん」という愛称で若いリスナーには人気がありました。「郡上郡(ぐじょうぐん)」を何度もしつこく「グンジョウグン」と読んでしまうような、勉強不足による失敗も多かったのですが、それもまた愛嬌の一つとして、非難の投書が舞い込むようなことはありませんでした。

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日野ダイナミックスコープ “走れ歌謡曲”パーソナリティ達
番組2(?)周年記念でファンに配られた写真(1969年8月文化放送 撮影)
火曜  兼田 美笑子
水曜  美川 玲子
木曜  成田 あつ子
金曜  長野 悦子
土曜  西条 ゆり子
日曜  落合 恵子

 後列右の髪の長い女性が若き日の「レモンちゃん」。

 人気がどれほどのものであったかは、グラフ誌が落合恵子号を出したことでも判りましょう。(ラジオの深夜番組キャラクターがグラビア誌を占領するなんてことは、それまでありませんでした)。「プールサイドのレモン」と大きなキャッチフレーズが躍りましたが、長袖・パンタロンのビーチウエアを着た「レモンちゃん」がプールの縁に横になっているという人を食った写真ばかりで、買いに走った若者達をがっかりさせました。(辛うじて憤懣を抑えるための策だったのでしょうか、たった一枚のビキニ姿、サーフボードを頭上に載せた上半身アップのページは、細身の彼女からは想像できない豊かさの胸元をみせて、孤独な受験生たちの間でのひそかな話題になりました。)
 「出版社に就職したくてあちこち受けたのに、片端から袖にされた。その中には ........という出版社も ........ 」とボヤキまで入った日記風の随筆は、彼女の文章がマスメディアに載った初めてのものだったろうと思います。

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