新 訳 比 較
apprivoiser


 議論百出、永久に結論は出ないだろうと思われる“apprivoiser”。第21章中に15回出てきます。新訳はどのように日本語化したのでしょう?
 “créer des liens”“rites”も重要な意味を蔵しますし、それぞれの前後で apprivoiser の対象が変わったりしますから、区切りの意味も込めて翻案を比較してみました。

hair line

 内藤 濯 さんだけは、変幻自在というべきか、無定見というべきか、細かな点まで見るとほとんど全部が違う単語です。すべての翻案で、同じ動詞の活用変化は一つにまとめました。発売順のリストアップです。

翻 訳 者
apprivoiser
créer des liens
apprivoiser
rites
apprivoiser
内藤 濯
飼いならす
仲良くなる
飼いならす
なつく
仲良くする
きまり
仲良しになる
仲良くする
めんどうをみる
三野 博司
手なずける
絆をつくる
手なずける
儀式
手なずける
倉橋 由美子
仲良しになる
関係をつくる
仲良しになる
きまり
仲良しになる
飼いならす
小島 俊明
飼いならす
絆を創る
飼いならす
きまり
飼いならす
山崎 庸一郎
飼いならす
絆をつくり出す
飼いならす
祭式
飼いならす
池澤 夏樹
飼い慣らす
絆を作る
飼い慣らす
習慣にする
飼い慣らす
川上・廿樂
なじみになる
絆を結ぶ
なじみになる
しきたり
なじみになる
藤田 尊潮
飼いならす
つながりをつくる
飼いならす
しきたり
飼いならす
辛酸 なめ子
飼いならす
養子縁組
飼いならす
約束
飼いならす
育てる
石井 洋二郎
なじみになる
きずなを作る
なじみになる
しきたり
なじみになる
稲垣 直樹
なじみになる
きずなを結ぶ
なじみになる
ならわし
なじみになる
河野 万里子
なつく
絆を結ぶ
なつかせる
ならわし
なつかせる

 半数以上もの人が「飼いならす」という落第点の答案を提出しています。キツネは、この物語の中心テーマを指し示す、要の狂言回し役です。この翻案では物語がメチャクチャになってしまうということが、なぜ判らないのでしょう。文学者の半数近くがこの陣営に含まれているのは、信じられません。


関連項目:
 草稿 21-1 飼い慣らす:重大な誤訳
 草稿 シルヴィア・ハミルトン

hair line

トップページに戻る
総目次に戻る