無断引用ですが、お許しいただけると思います。
| あるサイトで、二人の方からご意見を頂戴しております。仮にその方々を「A さん」「B さん」とさせていただきます。 |
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| 実はこのふたつは連続しており、すぐ後に A さんの同意書き込みが続きますが、ここでの議論に関係がないので、省きます。 |
| A さんのご意見に対して | |
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前半と後半、ふたつの部分に分かれています。 「etrangesという単語の意味を、他者の存在に対するいいようのない理解不能さを、拒否するという非難の意味を含むものであると解釈し、それを勘案した上で翻訳というものが行われたことを理解していないのではないか?」
このご意見に私は賛成できません。これではプリンスが、性格異常、悪くすれば精神異常になってしまうからです。
「他者の存在に対する、いいようのない理解不能さを拒否するという非難」は、すべての他者に対する絶望的な対立関係しか招きません。西欧とイスラム社会との間で起こっている、「文明の衝突」(実は宗教の衝突)と全く同じ構図です。個人でこれを起こせば、まともな社会生活すら、おぼつかないでしょう。引き籠もりか過剰攻撃性格かのいずれかに陥ってしまいます。この物語は、そのような性格の筋立てではない筈です。 「彼の理解に沿えば1つの単語に 1つの訳語というたった1つの解釈しかないというものに行き着くことにならないか・・・? 」 そうはならないと思います。少なくとも私は、そんなつもりで étranges や bizarres の説明を付け加えたのではありません。B さんの後半のご意見とも関連するのですが、ここでは副詞が段々とその(非難の)度を深めてゆくことが重要なのであって、たとえば、bizarres を(的はずれなものでない限り)どのような日本語に訳そうと、連続する章の結論部分が意味するところは変わりません。 | |
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読者をなめる態度があったのか、と反省はしております。これまた B さんの議論と関係しますが、話を判りやすく解説するために、一つの解釈へ誘導する強引さがあったことは否めません。 私の「総覧」(つまり、日本語ページ)は、日本語に翻訳された Le Petit Prince (したがって、発足当時は内藤 濯 氏訳の「星の王子さま」)を扱うサイトであり、当面の最重要課題は、「Le Petit Prince は、子供向けの児童書などではない!」という主張なのです。主眼とする読者層もそのレベルの人々であり、直接フランス語原書を読むことはない読者を想定してページを作っております。各翻訳を比較するためには原文の解説が必須です。それに際して、私の趣旨展開に好都合な語彙選択が行われていたことは、弁解の余地がありません。 |
| B さんのご意見に対して |
簡単に済むものから片付けます。
たとえば、「良い」と賞賛するときは“bon”ですが、“très bon”“très très bon”“tellment/vraiment bon”といった表現も普通に使われます。むしろ、ただ“bon”と言われただけでは、実は褒められたことにはなりません。「可もなし不可もなし」というほどの意味でしょうか。「悪い」と言うわけにはゆかないから、儀礼的に“bon”と言っただけのことが多いのです。本当に褒めるのならば、“très bon”だったり“très très bon”だったりします。この“très”“très très”“tellment/vraiment”自体には、非難・賞賛の意味はありません。後に来る言葉によって意味が付与・限定されるわけです。 さて、“extraordinaire”です。各章を読んでくれば明白なことですが、これは本来“extraordinairement bizarres”(または bizarres に代わる他の非難の言葉)とあるべき所ですし、読者はそのように読んでいるはずです。したがってこの“extraordinaire”には「紛れもない非難の意味」が込められるのです。
指摘を受けて調べてみた結果、B さんがおっしゃる「仏和大辞典 」は、おそらく白水社のものであろうと推察されます。問題のページを作るに当たって、私はこの辞書を参照しませんでした。【私はこの大辞典を所持しておりません。étranges と bizarres の違いを確かめるために私が参照したのは、数種のフランス語辞書ですが、それにはご指摘のような形での列記比較はなかったので、それぞれの項を別々に読みました。同一の項目で似た語を比較してあったのは大修館書店の現代フランス類語辞典のみでしたが、それを読んだ限りでは、白水社仏和大辞典のような差異は認められませんでしたので、意味はほとんどオーバーラップするものと理解しておりました。】
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| 白水社大辞典は権威あるもので、それに異議を唱えるつもりはありません。しかし、ネイティヴスピーカーでない日本人が何人寄り集まろうと、似た語句のニュアンスを正しく差別化することができるわけはなく、どこかに種本となったフランスの辞典があるはずです。そこにどのような例文が記載されているのか確かめるために探してみましたが、短時間で探索・入手することは無理なので諦めました。 |
| 他所のウエブサイトを勝手に引用しておいて、ここでお礼を言うのも変な話ですが、A さん、B さん、貴重なご意見とご指摘、ありがとうございました。【副詞がどんどんエスカレートしてゆくのに、それに修飾される形容詞がニュートラルで、非難の意味が含まれないことが可能かどうか、じっくりと考えてみたいと思っております。】 |
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件の私のページは、出版された翻案を比較するために並べたものです。同じ単語を同じように、段々増えてゆく副詞をそれが判るように、ちゃんと訳しているかどうかで順位付けをしました。単語をどのように訳すかは、あまり重要な要件ではありません。語本来の意味に非難が含まれるか否かには、あまり注意深くはありませんでした。反省点の一つです。とはいえ、検討し直しても、説明文は変わりませんでした。
改めて言うまでもないことですが(そしてまた、私ごときが言うべきことでもないのですが)、辞書にどのような候補が記載されていようと、言葉というものはそれが使われた状況と、前後の文脈の中で生きているものであって、いかようにも姿を変え得る存在です。とりわけ bizarres は日常の会話で多用され、それが意味するニュアンスは実に多彩です。肩をすくめて“bizarre”とつぶやくのと、語気強く“bizarre!”と吐き捨てるように言うのとでは、同じ言葉に込められる意味は異なります。“C'est bizarre, n'est-ce pas?”と相手にくってかかる場面では尚更のことです。 |